多発性硬化症(MS)に関する「アルファベット」の用語解説

B

 
  • B細胞(ビーさいぼう)
    生体の免疫機能に重要な役割を果たすリンパ球のひとつで、特定の異物(抗原)を認識し、その異物に合致する抗体を産生します。抗体は異物に結合してその働きを中和したり、他の細胞が異物を攻撃する目印になったりします。MSの発症にはB細胞やT細胞が関わっていると考えられています。
  • BAEP検査:Brainstem Auditory Evoked Potentials(ビーエーイーピーけんさ):聴性脳幹誘発電位検査:ちょうせいのうかんゆうはつでんいけんさ
    カチカチという音を聞いて聴覚に刺激を与えることによって、その刺激が脳までどのように伝わるかを調べる検査です。病巣の有無と位置を確認する誘発電位検査のうち、脳幹の異常を調べることができます。視覚誘発電位や体性感覚誘発電位と同様に、MS以外の病気でも異常が認められることがあります。

C

 
  • CSF:Cerebrospinal Fluid(シーエスエフ):脳脊髄液:のうせきずいえき
    脳と脊髄からなる中枢神経系の周りの空間を満たし、中枢神経系を外部の衝撃から守っている無色透明な液体です。脳や脊髄に栄養を補給する役割もあります。脳脊髄液を検査することで、脳や脊髄の病気について調べることができます。

D

 
  • DMD:Disease-Modifying Drug(ディーエムディー):疾患修飾薬:しっかんしゅうしょくやく
    ある病気の経過を、治療せずにそのままにした場合とくらべて良くすることができる薬のことをDMDといいます。MSでは、再発を予防したり、身体の障害が進行するのを抑える薬のことをいいます。
  • DMT:Disease-Modifying Therapy(ディーエムティー):疾患修飾療法:しっかんしゅうしょくりょうほう
    DMD(疾患修飾薬)を用いた治療のことです。

E

 
  • EDSS:Expanded Disability Status Scale(イーディーエスエス):総合障害度評価尺度:そうごうしょうがいどひょうかしゃくど
    身体の機能障害の程度を0と1~10までを0.5ポイントづつ20段階で評価するもので、身体機能障害を評価するために最も広く使用されている基準です。歩行機能と各機能障害の総合評価に基づいています。MSが進行して機能障害が重くなるにつれて、EDSSの点数は高くなります。

M

 
  • MRI検査:Magnetic Resonance Imaging(エムアールアイけんさ):磁気共鳴画像検査:じききょうめいがぞうけんさ
    強い磁場を用いて脳や脊髄の断面写真を撮り、脱髄している部分である病巣を写し出す検査です。活動している新しい病巣はガドリニウム造影剤を使って撮影することができます。
  • MSブレインヘルス(エムエスブレインヘルス)
    MSの治療にあたって、再発や身体の障害の進行を予防するだけではなく、脳の健康(ブレインヘルス)にも着目するという考え方です。MS患者さんでは、MSの症状があらわれる前から、脳の中で病巣ができたり、神経が損傷されたり、脳の体積が徐々に減り始めるといった変化が起きていると考えられています。このようなブレインヘルスの低下は、認知機能や身体機能に影響を及ぼしますが、MSの治療を受けることでブレインヘルスの低下を遅らせることができます。

P

 
  • PPMS:Primary Progressive Multiple Sclerosis(ピーピーエムエス):一次進行型MS:いちじしんこうがたエムエス
    発症してから、長期にわたって徐々に病状が進行するタイプのMSです。徐々に悪くなっていく場合と、病状の進行が一時的に止まったり、わずかに良くなる場合があります。欧米では約15%がこのタイプですが、日本人には比較的少ないタイプです。

Q

 
  • QoL:Quality of Life(キューオーエル):生活の質:せいかつのしつ
    個人の生きがいや精神的な豊かさのことをいいます。病気を治療するときも、生きがいや豊かな気持ちをもった健やかな生活を目指すことが大切と考えられています。

R

 
  • RRMS:Relapsing Remitting Multiple Sclerosis(アールアールエムエス):再発寛解型MS:さいはつかんかいがたエムエス
    急に症状があらわれ、再発と寛解を繰り返し、再発と再発の間では病状の進行はみられないタイプのMSです。一度発症してから、その後何年も症状が落ち着いている人もいれば、1年に何度か再発する人もいます。日本でも欧米でも最も多いタイプで、欧米では85%の患者さんが病気の初期にこのタイプと診断されます。

S

 
  • SEP検査:Somatosensory Evoked Potentials(エスイーピーけんさ):体性感覚誘発電位検査:たいせいかんかくゆうはつでんいけんさ
    手または足に電気的あるいは機械的な刺激を与えることによって、その刺激が脳までどのように伝わるかを調べる検査です。病巣の有無と位置を確認する誘発電位検査のうち、特に脊髄と脳幹の異常を調べることができます。感覚症状を客観的に調べるために有用です。
  • SPMS:Secondary Progressive Multiple Sclerosis(エスピーエムエス):二次進行型MS:にじしんこうがたエムエス
    最初は再発寛解型で始まり、途中から徐々に病状が進行するタイプのMSです。病状の進行中、再発・寛解がある場合とない場合があります。

T

 
  • T1強調画像(ティーワンきょうちょうがぞう)
    MRI検査で得られる画像のひとつです。できたばかりの病巣か、あるいは脱髄が強く進んで軸索まで障害された過去の病巣のあとが黒く写ります。T1強調画像に写る過去の病巣のあとを「ブラックホール」と呼びます。
  • T2強調画像(ティーツーきょうちょうがぞう)
    MRI検査で得られる画像のひとつです。脳内の水分を高感度に検出します。病巣も脳脊髄液も明るく(白く)写ります。炎症・浮腫・脱髄・軸索損傷なども検出しますが、必ずしも症状の強弱や機能障害の程度とは一致しません。
  • T細胞(ティーさいぼう)
    生体の免疫機能に重要な役割を果たすリンパ球のひとつです。免疫系の活性化、抑制などの調節機能を担うほか、ウイルス感染細胞などを攻撃する役割があります。MSの発症にはT細胞やB細胞が関わっていると考えられています。

V

 
  • VEP検査:Visual Evoked Potentials(ブイイーピーけんさ):視覚誘発電位検査:しかくゆうはつでんいけんさ
    通常は白黒が反転するチェック模様が表示されているモニターを見て、視覚への刺激が脳までどのように伝わるかを調べる検査です。病巣の有無と位置を確認する誘発電位検査のうち、視神経の異常を調べることができます。MSでは視神経に病巣ができることが多いため、この視覚誘発電位検査が重要なものとされています。