仕事の内容、勤務時間、勤務形態、職場環境など、どんな働き方をしているかや、心配なことを詳しく伝えましょう。
治療を始める前に、一緒に考えてみてほしいこと |
ーこれからの人生を自分らしく生きるためにー
監修:関西医科大学総合医療センター 脳神経内科 准教授 藤井 ちひろ 先生
これから多発性硬化症(MS)の治療を始めるにあたって、不安や心配なことはありませんか?
「治療」というと、再発や病気の進行をおさえたり、症状をやわらげたりすることをイメージされると思います。
これらはもちろん、最も大事な治療目標のひとつですが、MSの治療のゴールはさらにその先にあります。
治療を通して目指しているのは、病気をコントロールしつつ患者さんがそれぞれに“これからの人生を自分らしく生きる”ということです。
この目標に向かって、あなたにとって最適な治療を考える際に必要なものは、診察や検査で分かる「病気」に関連した情報だけではありません。あなたが守りたい生活や、大切にしている物事や考え方、将来の希望なども、最適な治療方針を決めるうえでは欠かすことのできない大切な情報です。
あなたの不安や今困っていること、悩んでいること以外にも、ふだんの生活スタイルや、価値観、将来の夢など「こんなことは病気とは関係ないかもしれない」と思うことでも、遠慮せずに医師に話してみてください。
医師は、あなたがあなたらしく人生を生きるための治療方針を一緒に考えていくために、あなたの話をもっと聞きたいと思っています。
医師と患者さんがお互いにコミュニケーションをとりながら、納得したゴールに向けて進むための方法を、「共同意思決定」または「シェアード・ディシジョン・メイキング(Shared Decision Making:SDM)」と呼びます。
従来の「医師が決めた治療を患者さんが受ける」という一方的な関係ではなく、医師の専門知識や経験値と、患者さんのライフスタイルや価値観を組み合わせながら、「患者さんにとって最適な治療を一緒に選んでいく」という考え方です。
MSと診断されたときに、医師から病気のことやこれからの治療について、いろいろな説明を受けたと思います。
次は、あなたが医師に、自分のことを伝えてみましょう。
あなたが生活のなかで大切にしたいこと、どのような将来の夢があるか、不安や疑問に思っていることなどを、率直に話してみましょう。
どんなことを話したらよいか分からないときは、以下のチェックリストを参考にしてみてください。
伝えたいこと、聞きたいことを事前にリストアップしておくことで、スムーズに話すことができるでしょう。
【使い方】
「1/4 あなたの生活で大切なこと」の項目にチェックを付け、医師と話すポイントについてもぜひご覧ください。
「2/4 ふだんの生活のこと」にも同じようにチェック項目があります。バーの右にあるVマークを押してみてください。
気になっている項目にチェックを入れて、「伝えたいことリストを作る」ボタンをクリック。
リストをPDF保存、印刷またはスクリーンショットするなどして、次の受診のときに持っていきましょう。
仕事の内容、勤務時間、勤務形態、職場環境など、どんな働き方をしているかや、心配なことを詳しく伝えましょう。
通学時間や交通手段、部活動、学校行事の予定など、どんな学生生活を送っているかや、心配なことを詳しく伝えましょう。
家族構成、家庭でどんな仕事・役割をしているかや、心配なことを詳しく伝えましょう。
進学試験、資格試験や、試験以外にも大切な予定がある場合は、早めに伝えましょう。
趣味・習いごとの内容や、心配なこと、近々予定しているイベントがあれば伝えましょう。
ふだんしている運動・スポーツの内容や頻度を伝えましょう。
飲酒の有無や頻度、気になる食材などがあれば伝えましょう。
ふだんの生活スタイル(外出の頻度や、睡眠時間など)を確認しておきましょう。
子どもを産みたいと考えている場合は、希望している時期や人数を伝えましょう。
心配なことがあれば、遠慮せずに聞いてみましょう。
進学、留学、就職、転職、昇進、結婚、転居などの、生活上の大きな変化を予定している場合は、内容や時期を伝えましょう。
治療を始めるタイミングについて、希望や気になることがあれば伝えましょう。
剤形(経口薬・注射・点滴など)について、好みや苦手なことがあれば伝えましょう。お薬の服薬頻度も確認しましょう。
通院の頻度や時間帯について、希望や心配なことがあれば伝えましょう。
治療の見通しを聞いてみましょう。
副作用、効果、妊娠や胎児への影響、性機能への影響、治療費、保険制度など、治療薬について不安や疑問がある場合は、遠慮せずに質問しましょう。
SDMは、最初の治療を決めるためだけのものではありません。
あなたの生活や価値観も、病気の状態や治療の選択肢も、経過のなかでたびたび変化していくと思います。
今の治療が今のあなたにとって最適かどうか、「自分らしい人生」に一歩でも近づけているか、継続的な医師とのコミュニケーションを通じて、くりかえしSDMを行うことが大切です。
将来の目標に向けて、今の症状や治療と向き合うために、日々の健康状態や医師に相談したいことをメモできるダイアリーがあります。SDMを続けていくために、活用してみてください。