World MS Dayとは、毎年5月末に世界各国で多発性硬化症(MS)の認知向上のために実施されている疾患啓発活動です。
イベントレポート
「そこからの光~未来の私から私へ~」
映画予告トークイベント/5月30日は2020 World MS Day

2020年5月30日(土)のWorld MS Day(世界多発性硬化症の日)に、多発性硬化症(MS)をテーマとした長編映画『そこからの光~未来の私から私へ~』の完成を記念し、オンラインによる予告トークイベントを行いました。
登壇者は、本映画の監督を務めた淀川茂監督、医療監修のおひとりである大橋高志先生(東京女子医科大学八千代医療センター 脳神経内科准教授)、司会は松田理奈さん。
映画に出演された文音(あやね)さん、ニッチェの江上敬子さん、田中美奈子さんはビデオメッセージにて登場いただきました。
見た目には難病であることが分からない
だからこそ映画を通じて、多発性硬化症のことを知ってほしい
イベント冒頭で特別予告編を公開した後、主演女優を務めた文音さんからのビデオメッセージを紹介しました。文音さんは「MSのことは全然知らなかったです…。なので、様々な症状や感覚は想像するしかないけど、しっかり勉強して演技しました」との思いを語りました。

まだ認知が不十分なMSをテーマとした本映画のメガホンをとった淀川監督に、制作に至ったプロセスをお話しいただきました。
「私は、これまでに何度もMS患者さんに取材をさせていただきましたが、“見た目”には難病であることが分かりませんでした…」と、MS患者さんが抱える課題に言及し、「見た目には分かりづらいからこそ、もしかしたら自分の周りにも患者さんがいて、カミングアウトできない方もいるんじゃないかと感じました。なので、映画を通じてこの病気のことを知ってもらいたいです」と、本映画が生まれるきっかけとなった強い想いをお話しされました。
大橋先生は「私は、この映画のモデルになった中田郷子さんが代表を務める“MSキャビン”という患者会のサポートを20年続けています。正しい情報を発信するのは患者会の重要な役割ですので、それをモデルにした映画を作りたいというお話があった時には本当に嬉しかったです。一人でも多くの方に観ていただきたいです」と語りました。
見えづらい症状を映像としてどう見せるか、が撮影で一番苦労したところでした
見た目には分かりづらい症状の映像表現について、淀川監督は「映像の作り手としては、分かりやすい映像を撮りたいという気持ちがありますが、演技をオーバーにすると正しく描写されないため、患者さんが観ると感情移入できなくなってしまいます」と語ります。
「はっきりとは見えない症状を映像としてどう見せるか、が一番撮影で苦労したところでした」と、MSを理解すること、それを伝えることの難しさを語りました。

患者さんが「普通の生活」をあきらめないようにするのが主治医の役割
主人公の主治医役を演じた田中美奈子さんは、ビデオメッセージで「家族のように寄り添えるような医師を演じたいと感じました。(患者さんとの)“距離感”を縮められるようお芝居も調整しました」というエピソードを語りました。
それを受けて大橋先生は、患者さんと主治医の理想的な関係について「MSは若いころに発症する病気なので、患者さんとは長いお付き合いになります。そのため就職や結婚など様々なライフイベントを経験する中で、それに合わせた治療を一緒に考えていきます。患者さんが“普通の生活”をあきらめずに送れるようにお手伝いするのが主治医の役割だと思っています」とご自身のお考えをお話しされました。

キーパーソンは“親友”
患者さんにとって、この映画が希望の光になってほしい
この映画で重要な役を演じるニッチェの江上敬子さんは、ビデオメッセージで「お話をいただいた時はこういう役ができるか葛藤がありました。でも、MSをひとりでも多くの方に知ってもらえるなら、それに自分が貢献できるなら、という思いで出演させていただきました」と語りました。
大橋先生は親友の重要性について「親友役としての江上さんの存在は大きく、こんな親友がいたら心強いなぁと思います。ただ、そういう親友がたとえいなかったとしても、患者会がお役に立てると思います。不安なことがあったら患者会に相談してほしい」とお話しいただきました。
「たくさんの治療薬が使えるようになってきた今、多くの患者さんが普通の生活を送れるようになっています。この映画が“つらくて悲しい難病の映画”ではなく、患者さんにとって“希望の光”になってほしいです」と熱い思いをお話しされました。
この映画がきっかけで「未来は明るいんだ!」と思っていただけたら
イベントの最後に淀川監督は「この映画の制作に何十人も関わりました。最初はMSを知りませんでしたが、制作のプロセスでしっかりと向き合い、なんとかこの病気を正しく表現しようと頑張りました。そんな映画をたくさんの方にご覧いただき、“皆さんの未来は明るいんだ!”と思って頂ければと思います」と熱いお気持ちを述べられました。
大橋先生は「昨今の新型コロナウイルスの影響により試写会は延期になってしまいましたが、公開の暁には涙あり、笑いありの映画を是非観ていただきたいです」と締めくくりました。
(※イベント当日用予告編、出演女優によるビデオメッセージ部分を除く)
<映画本編 試写会イベントのお知らせ>
新型コロナウイルス感染症の状況を考慮し、
12月に実施予定の全国試写会を
オンラインで開催することとなりました。
【第1回】 | 12月 5日(土) 17:00-19:00(予定) |
【第2回】 | 12月 6日(日) 14:00-16:00(予定) |
【第3回】 | 12月12日(土) 17:00-19:00(予定) |
【第4回】 | 12月13日(日) 14:00-16:00(予定) |
上映時間は変更になる可能性もございます。
試写会の応募は、10月末より受付開始予定です。
詳細は追ってご案内いたします。
取り組み