生活の注意点

残念ながら、現在のところMSを完全に治す治療法はありません。ですから治療の目標は、できるだけ再発や進行を遅らせて、症状のない時間(寛解期)を長くすることです。 次のような点に注意して日常生活を工夫することにより、MSとうまくつきあっていくことを考えましょう。

体温の上昇に気をつける

体温が上がると今ある症状が一時的にひどくなったり、別の症状が出てきたりすることがあります(ウートフ徴候)。体温がもとに戻ればおさまります。運動や入浴、風邪などによる発熱、暑い場所・時期、過度の日焼けなどが原因となるので注意が必要です。

適度な運動

適度な運動は体力や筋力の維持だけではなく、気分転換にもつながります。ストレッチ、散歩、水泳、ヨガなど、無理なくできる運動を心がけましょう。椅子に座ったままでも、背筋を伸ばしておなかと背中に力を入れた姿勢を1日に何回か保つことで、筋力の低下を防ぐことができます。がんばりすぎて疲労をためないよう、軽い運動をできれば毎日行うことが大切です。自分に合った運動内容と運動量を考えて、実行しましょう。

感染症の予防

ウイルスなどに感染して免疫系が働き出すとMSが再発することがあります。手洗い、うがいをしっかりとして、部屋の温度や湿度にも気をつけましょう。また、マスクの着用やインフルエンザワクチンの接種など、感染の予防を心がけてください。自分だけでなく、家族の方の感染予防も大切です。

疲労、ストレスをためない

疲労やストレスが再発のきっかけとなることがあります。疲れを感じたら無理をせず、ゆっくり休んでください。また、MS自体がストレスの原因となることがあるので、自分なりのストレス解消法をみつけておくことも大切です。

食事

MSだから食べてはいけないという食物はありませんし、食べると良いという食物もありません。ビタミンやミネラルが豊富で栄養バランスのとれた食事をすることが大切です。便秘になりやすいので、食物繊維を多くとるようにしましょう。

多発性硬化症(MS)の妊娠・出産について

 

MSだからといって妊娠・出産ができないわけではありません。MSは遺伝病や感染症ではないので、生まれてくるお子さんがMSになることはほとんどありません。多くの方が元気な赤ちゃんを出産しています。ただし、使っている薬によっては妊娠に影響のあるものもあるので、妊娠・出産については事前に医師とよく話し合ってください。